[EVANGELION] 性転換エヴァンゲリオン 第参話 『鳴らない、電話』 脚本(Bパート)
 段々匍匐前進のようなペースになってきております。ベースのリライトに時間がかかるのが最大の問題なのですが、抜本的な改善案が見当たらず。スキャニングしてOCRソフトに掛けてもそれなりに整形と修正に時間は喰われるし。慣れでスピードアップするのを期待するしかないんでしょうなあ。トホホ。

承前

 以下のシナリオは、原則として『EVANGELION ORIGINAL I』の書式に準拠して作成されています。但し、ビデオ収録版と差異がある場合にはビデオ版の描写に優先的に準拠しています。また、オリジナルの表現も含まれております。予めご了承下さい。


Bパート


ネルフ本部・作戦管制室
青葉「目標を光学で捕捉。領海内に侵入しました」
冬月「総員、第一種戦闘配置。」
マサト「了解。対空迎撃戦、用意」
日向「第三新東京市、戦闘形態に移行します」
伊吹「中央ブロック、収容開始」


第三新東京市・市街地
  サイレンと避難命令が反響している市街。
  交通機関は全てストップ。
  信号は一斉に赤、運行中止に変わる電光掲示板。道路の掲示板も「CAUTION DANGER LOCK BOLT-OUT」に。

  自動的にシャッターが降り、道路にバリケードが作られていく。
  不要なビルは地下に収納され、高層ビルには防御壁が覆っていく。
  逆にジオフロント天井へ姿を見せる、ビル群。天蓋を覆っていく装甲シャッター。
  ネルフ本部をも入れ込む大ロング。次々と天井から出てくるビル群。


ネルフ本部。作戦管制室
伊吹「中央ブロック、及び第一から第七管区までの収容完了」
青葉「政府及び関係各省への通達終了」
阿賀野「目標は依然侵攻中」
大井「現在、対空迎撃システム、稼働率48%」


  尚も続く報告。


マサト「非戦闘員、及び民間人は?」
青葉「既に、退避完了との報告が入っています」


○地下シェルター
アナウンス「小中学生は各クラス、住民の方々は各ブロックごとにお集まり下さい」


  学校の生徒達をはじめ、大勢の市民が避難している。
  遠くで子供の騒ぐ声。赤ん坊の泣く声。
  体育座りの生徒たち(個人の鞄は持ってきている)。
  カナは自分のハンディカメラ(モニター付き)を見ている。
  どのチャンネルも画面は同じ。山と紅葉の静止画像に−−
  『本日正午に、東海地方を中心とした関東、中部地方の全域に特別非常事態宣言が発令されました。詳しい情報は入り次第、お伝えいたします』の[テロップ]のみである(バックにイージーな音楽が流れている)。


カナ「(くやしそうに)ンもう、またァ?」
トウコ「また文字だけなん?」
カナ「報道管制ってわけ。私達民間人には見せてくれないのよ。こんな、ビッグイベントだっていうのに」


  悔しげな表情のカナ。
  見上げるトウコ。爆音のような音と共に、微震が連続する。


○漁港
  使徒、超低空でフライパスする。


ネルフ本部・作戦管制室
マサト「碇司令の居ない間に、第四の使徒襲来か。意外と早かったな」
日向「前は15年のブランク。今回はたったの三週間ですからね」
マサト「こっちの都合はお構いなしか。女の腐ったようなヤローだ」


  マサトの発言に顔を顰める日向。
  山間部からの迎撃。使徒、ミサイルや砲弾を難なく跳ね返していく。


冬月「税金の無駄遣いね」
青葉「委員会から再び、エヴァンゲリオンの出動要請がきています」
マサト「五月蝿い奴等だな。言われんでも出撃させるさ」


  プラグのロックが外れる(#1BANK*1
  エヴァから離れていくプラグ用クレーン(#1BANK)。


大井「エントリー、スタートしました」
最上「LCL、電化」
阿賀野「圧着ロック、解除」


○エントリープラグ
  目を瞑っているシンコ。バックが金属板からモニターに変わる。
  うっすらと目を開けるシンコ。


シンコ(MONO)「母さんもいないのに、なんで、また乗ってんだろ…」


  先のシーン。フラッシュバック。
  瞼を伏せるシンコ。睫毛が震える。


シンコ(MONO)「−−人に、殴られてまで…」


  モニタ画面で、表情が沈むシンコと、殴られた痕に気付くマサト。


マサト「…どうしたんだ、その傷?」
シンコ「別に…ちょっと転んだだけです」


  無意識に口の端を拭うシンコ。
  傷口は塞がっていない。


○シェルター内
  ムスッとした顔のトウコ。
  響く震動音。
  傍らのカナは話を切り出す切っ掛けを探している様子。
  が、ついに決心。


カナ「ねぇ、ちょっと二人で話があるんだけど」
トウコ「なんや?」
カナ「ちょっと、ねっ」
トウコ「しゃーないなァ。…委員長!」
ツバサ「なんだい?」
トウコ「ウチら二人、厠や」
ツバサ「(派手に顔を顰めて)まったく…ちゃんと済ませときなよ」
トウコ(カナと立ち上がりながら)「すまんな」


○同・トイレ
  あまり清潔とは云えない女子トイレ。個室が二つ、並んで使われている。


トウコ「で、なんやのん?」
カナ「死ぬまでに一度だけでも見たいの!」
トウコ「上のドンパチ?」
カナ「今度またいつ敵が来てくれるかどうかもわかんないし…」
トウコ「カナ、アンタさァ−−」
カナ「この時を逃しては、或いは永久に…ねっ、お願い。ロック外すの手伝ってよ」
トウコ「外に出たら死んでまうやん」
カナ「ここにいたって、わからないよ。どうせ死ぬなら見てからがいいの」
トウコ「アホ。何の為にネルフがおるんよ」
カナ「そのネルフの決戦兵器って、何。あの転校生のロボットじゃない。この前もあの子が私達を守ったんだよ。それをあんなふうに殴ったりして。それも二度も」
トウコ「ぐっ…」
カナ「あの子がロボットに乗らない、なんて言い出したら、私達死ぬよ?」
トウコ「−−」
カナ「(挑発するように)まァ、怖いって云うんならしょうがないけどサ」
トウコ「なんやて?」
カナ「いっつも女は度胸って云ってるトウコらしくないなァ?」


  同時に流れる洗浄音。同時に開かれるドア。
  お互い向き合ってガン見しあっている二人。


カナ「…トウコには、あの子の戦いを見守る義務があるんじゃないの」
トウコ「…しゃあないなァ。アンタ、ホンマ自分の欲望に素直なやっちゃなァ…」


  満面の笑みを浮かべるカナ。


カナ「エンジョイ・アンド・エキサイティングが人生のモットーなんでね、私」


  トイレの傍ら、やたらと長細いシェルター内の通路。側に緊急用のハッチがある。
  二人、二箇所に離れた非常ドアのロックを同時に解除する。
  バシュンと開く非常ドア。


○エントリープラグ
  目を瞑っているシンコ。
  電話の呼び出し音。うっすらと目を開けるシンコ。


マサトの声「シンコちゃん。出撃、いいね?」
シンコ「−−」
マサトの声「シンコちゃん!」
シンジ「…そんな大きな声で怒鳴らなくても、ちゃんと聞こえてますよ」
マサト「(呟きで)…参ったな。まだご機嫌斜めか」
リツト「いいかい。敵のA.T.フィールドを中和しつつパレットの一斉射。練習通り、大丈夫だね?」
シンコ「ハイ…」


ネルフ本部・作戦管制室


マサト「発進!」


  射出される初号機(いつものBANK)。


○山間部
  重厚な非常用ハッチが開く。
  壁に手を付いているトウコとカナ。二人とも汗だく。肩で息をしている。


カナ「はぁはぁ…止まってるエスカレーターって、こんなキツいのォ…」


  二人、更に階段を駆け上がって高台に至る。
  爆音。そっちを見る二人。
  ビル陰から姿を現す、使徒。二人の見た目で。
  飛行形態から戦闘形態へと移行する、使徒
  トウコ、その巨大で異様な姿に身が竦む。
  カナ、ビデオを廻しながら。


カナ「凄ォい! 苦労した甲斐があったわ! あっ、来た来たっ!」


第三新東京市・ビル街
  警告音後にビル正面の全面シャッターが開き、
  パレットライフルを携えて、その勇姿を見せるエヴァ初号機


○山間部
  呆然とその巨体を見ているトウコ。


  エヴァの周りに波ガラスがF・I→F・Oする*2


○エントリープラグ内
  緊張した面持ちのシンコ。


シンコ「目標をセンターに入れて、スイッチ…目標をセンターに入れて、スイッチ…」
伊吹の声「A.T.フィールド、展開」
マサトの声「作戦通り。いいね、シンコちゃん」
シンコ「ハイ…(MONO)勝てばいいんでしょ。勝てば…」


  シンコ、制御装置を握る。


第三新東京市・ビル街
  抜き打ちで、いきなりパレットを撃つ、エヴァ初号機
  弾道は、真っ直ぐ使徒へ。
  しかし闇雲に撃ったおかげで爆煙で使徒の姿が消える。


マサト「バカッ! 爆煙で敵が見えねえ!」


  肩で息をしながら凝然と戦況を見遣るシンコ。
  爆煙の中から使徒の鞭が伸びる。
  いとも簡単に真っ二つにされるパレットライフル、そして背後のビル。
  早くもピンチのエヴァ


○山間部
トウコ「なんや! もうやられとるんか!」
カナ「大丈夫!」


ネルフ本部・作戦管制室
マサト「予備のライフルを出す!」


  武装ビルのロックボルトが外れる。カバーが開き、姿を現すライフル。


マサト(OFF)「受け取ってくれ!」


  だが、初号機は動かない。
  焦っているシンコ。何も耳に入っていない。
  息遣いが荒い。


マサト「シンコちゃん? シンコちゃん!」


○山間部
カナ「(ビデオを撮りながら)あらららー…やっぱ、殴られたのが効いてるのかなァ」
トウコ「う、うるさいっ!」


第三新東京市・ビル街
  一時的に恐慌状態に陥っているシンコ。
  滑るように移動する使徒
  一瞬のうちにエヴァの直前へ。
  使徒の連続攻撃。
  吹っ飛ばされつつも鞭を辛うじて避ける、エヴァ
  だが、電源ケーブルを切断されてしまう。
  作戦管制室のスクリーンに出現する、逆算式大型時計。
  エントリープラグ内にも現れる、時計。内部は赤パラ。鳴り響く、警報音。
  更に焦燥感が募るシンコの顔。
  スクリーンを見つめるマサト。これらにOFFで台詞が、かぶる。


青葉の声「アンビリカルケーブル、断線!」
日向の声「エヴァ、内臓電源に切り替わりました!」
伊吹の声「活動限界まで、あと4分53秒」


  路上に転がっているケーブルコンセント。
  エヴァ、身を起こすも使徒の鞭に拘束される。
  画面動のシンコ。
  そのまま、宙に放り投げられる初号機。


二人「こっちに来るっ! きゃあああああああああああ!」


  絶叫する二人。
  二人の真上に墜落するエヴァ初号機
  ぐったりしているシンコ。各種警告音と共に、マサトの声が響く。


マサトの声「シンコちゃん、大丈夫か? シンコちゃん!」
シンコ「うう…」
マサトの声「ダメージは?」
日向の声「問題なし、いけます!」


  呻き声を上げつつ身を起こし、エヴァの指の間にいる人影に気付くシンコ。
  偶然、エヴァの指の間にいて助かったトウコとカナ。
  二人、涙目でエヴァを見上げて震えている。
  シンコの背中にゾーッと戦慄が走る。
  ほんの僅かでもずれたら二人とも死んでいたという事実に、
  初めて恐慌を超えた恐怖の感情が襲ってくる。
  作戦管制室に映る、エヴァからの直接映像。
  二人のIDデータも映る。


マサト「シンコちゃんのクラスメイトか!?」
リツト「何故、こんなところに…」


  飛行形態でエヴァの直上に迫る使徒
  使徒は鞭で初号機を攻撃。
  初号機、それを素手で掴む。
  焼け爛れる掌。ただ、耐える初号機。
  エヴァの手元で何もできず、見上げているだけのトウコとカナ。


トウコ「なんで戦わんの?」
カナ「私達が、ここにいるから? …自由に動けないんだよ!」


伊吹の声「初号機、活動限界まであと3分28秒!」
マサトの声「シンコちゃん、その二人を操縦席へ!」


ネルフ本部・作戦管制室
マサト「二人を回収したのち、一時退却。出直すぞ!」


  あっけにとられるリツトと伊吹。
  直ぐに憤然と言い返すリツト。


リツト「許可のない民間人を、エントリープラグに乗せられると思っているのかい!」
マサト「俺が、許可する」
リツト「越権行為だ、葛城一尉」
伊吹「初号機の活動限界まで、あと3分」
マサト「エヴァは、現行命令でホールド。その間にエントリープラグ排出。急げ!」


○山間部
  照明が落ちるエントリープラグ。
  エジェクトされ、背面から伸びるプラグ。
  外部スピーカーから山に木霊する、マサトの声。


マサトの声「(外部スピーカーから)そこの二人、乗れ! 早く!」
トウコ「…」


○エントリープラグ内
  真っ暗闇に突然響く水音。ほぼ同時に何かが水に飛び込む音ある(ステレオで)。


トウコ「な、なんや! 水やんかっ!」
カナ「カメラ! カメラが…」


  突然明るくなるプラグ内。
  再び鳴り響く、各種警告音。
  驚く二人。その目の前にはプラグスーツ姿のシンコがいる。
  チラと一瞥をくれただけで、蒼白な表情で前へ向き直るシンコ。
  関わっている余裕がないという風情。
  メインモニタには、目前の使徒が映っている。
  突然、エントリープラグのモニター類にノイズが走る。


ネルフ本部・作戦管制室
  シンクログラフの反転が始まっている。
  神経接続も寸断されている。


伊吹「神経系統に異常発生!」
リツト「異物を二つも、プラグに挿入したから! 神経パルスにノイズが混じっているんだ」


  ノイズ混じりのモニター。
  真皮を超えて損傷が進む掌。
  苦痛の呻きを漏らすシンコ。
  それを堪え、使徒を振り飛ばす。
  そして頭を振って恐怖を振り払おうとする。


マサト「今だ! 後退しろ!」


  ゆっくりと身を起こす初号機。
  掌の損傷が酷い。


○プラグ内
  雑多な音に混じって響くマサトの無線台詞。


マサトの声「回収ルートは34番。山の東に後退しろ!」
カナ「時間がないよ!」
トウコ「転校生! 逃げろ云うとるよ! 転校生!」


  動かないシンコ。
  噛み締められる唇。苛立ちに震える手。
  口の端の傷口が開き、LCLに血の筋が流れ出る。


シンコ(ブツブツと)「うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい…」


  完全に据わった目で前を見据えるシンコ。
  表情と言葉に気が付き、絶句するトウコ。
  左肩がエジェクトし、ナイフが繰り出される。
  その様子を、睨んでいるマサト。


日向「プログレッシブナイフ、装備」


  ナイフを握り、震動をスタートさせる。
  白熱化するブレード。


マサトの声「シンコちゃん、命令を聞け! 退却だ! シンコちゃん!」


  その言葉を聞いた瞬間にシンコの脳裏に走るフラッシュバック。
  マサトの机の上に置かれた「E計画・サードチルドレン監督日誌」。
  詳細に記録された自分の日常。
  マサトの指示で、保安部により監視されている事実。
  そして数日前の会話。
  「君は大切なパイロットなんだ、もう自分だけの身体じゃないんだぞ!」というマサトの台詞。


シンコ(MONOで)「勝てばいいんでしょ。邪魔しないで。…黙れ」


  ついに活動限界まで1分を切り、表示が警告音と共に赤に変わる時計。
  プラグ内の照明も赤へ。
  シンコ、切れる。絶叫。
  前に出る初号機。
  そのまま、ザザーッと山腹を滑り降りる。


マサト(吐き捨てるように)「…バカヤロー」


  突進する初号機!
  使徒の鞭が腹部二箇所を貫通する。
  腹部を押さえ、動きを止める初号機。
  焦りの声が上がる司令部。
  しかし、叫びながらプログレッシブナイフを突き出すシンコ。
  ナイフの刃先が光球にめり込む。
  猛烈な火花が散る。
  赤パラのプラグ内。軋み音。
  甲高い警告音や無機質なカウントダウンが響く中、叫びながら力任せにレバーを押しこんでいくシンコ(右手に左手を添えて)。
  火花を上げてどんどん食い込んでいく刃。
  涙を散らしながらただ喚いているだけのシンコ。
  恐怖におののく二人。


ネルフ本部・作戦管制室
伊吹「エヴァ初号機活動限界まで、あと30秒」
マサト「−−」
伊吹「28、27…」


  スクリーンを睨みつけたまま怒りの表情のマサト。
  ただ喚くだけのシンコ。
  呆然とそれを見つめるトウコとカナ。
  無機質に響く伊吹のカウントダウンの声。
  火花を正面から浴びる初号機の頭部。
  初号機の腹部を抉り続ける使徒の鞭。
  死んでいく左モニター。
  点滅を始める、使徒の光球。刃がかなり食い込んでいる。
  残り2秒でついに罅割れ、消える光。プラグ内に初号機の停止音が響く。
  闇に包まれるシンコら。


ネルフ本部・作戦管制室
伊吹「エヴァ初号機、活動を停止」
日向「目標は、完全に沈黙しました」


  引き続き、怒りの表情のマサト。


○初号機・エントリープラグ
  予備電源の仄かな明かり。言葉のないトウコ、カナ。
  ただシンコの嗚咽だけが響く。


シンコ「…ど、どうして…私、一体何の…誰の為に…あ…ああ…」


  がっくりと前のめりに身体を折り、レバーに縋るように肩を震わせているシンコ。
  その後姿を見つめる二人。
  気遣わしげな表情のトウコ。


○山間部
  夕焼けを背景に抱き合わせたオブジェのように動かない二つの巨体。
  (F・O*3


○(F・I)学校・校庭
  どしゃぶりの雨。
  濡れたまま放置されているテニスボール。


○同・教室
  雨に閉じ込められ、怠惰な昼休み。
  虚ろな表情で雨垂れを見ているレイジ。
  記憶を頼りにハンディパソコンでエントリープラグの図面を起こしているカナ。
  その隣でぼんやり腕枕のトウコ。


トウコ「(ポツンと)今日でもう三日か…」
カナ「(パソコンをいじりながら)私達がコッテリと叱られてから?」
トウコ「アイツが学校に来んようになってから」
カナ「(トボケて)アイツって?」
トウコ「転校生や、転校生。あれからどないしとんのかなあ」
カナ「心配なの?」
トウコ「別に、心配ちゅうわけや…」
カナ「トウコは不器用なくせに、強情だからねえ。あの後、別れ際にでも謝っておけば、三日も悶々としなくて済んだのに−−ハイ、転校生の電話番号」


  カナ、トウコに紙片を差し出す。


カナ「心配だったら、掛けてみたら?」


  トウコ、ムッとした表情で紙片を掴むと教室の外へ。


○同・廊下
  誰もいない廊下にトウコが来る。
  紙片を見て、ダイヤルをプッシュするが、途中でその指が止まる。
  躊躇っているトウコ。結局、外線スイッチを切り、教室に戻っていく。
  空舞台*4
  窓の外は土砂降りの雨。(F・O)


○同・教室
  相変わらず窓際に佇むレイジ。
  その横に、ひょいと顔を出すカナ。
  片手で携帯をプッシュする。
  電話が繋がり、回れ右して窓に背中を預けるカナ。
  会話が始まる。が、口元は背中を向けているため伺えない。
  そして、雨音に遮られて内容も聞き取れない。
  全てを覆い隠すような、雨。


[テロップ]−−つづく−−(黒バックに白字)

余談

 「碇シンジ育成計画」より新オペレータ三人衆初登場。それほど際立った出番があるとは思えませんが、今後もレギュラーキャラになると思いますので、どうぞよしなにwww
 本パートは改編を増やしました。特にシンコ。不満が鬱積していた彼女が依怙地に振る舞ったことが、シャムシエル戦の命令無視に繋がっています。マサトとシンコの苛立ちや擦れ違いについては、次回更に掘り下げて語る事になると思われます。また、カナについても単なるケンスケの陰画にとどめないという方針でキャラを立てています。ラストシーン、電話の相手は誰ですかね? バレバレですけど。

*1:「BANK」はアニメーションの専門用語。他の話や他のシーンの絵を使いまわすこと。

*2:「波ガラス」とは画面に波が起きたような効果を出すアニメ撮影のテクニック。ここでは、A.T.フィールドを表現するために、その「波ガラス」の効果が現れ、消えるようにと指示されている。「F・O」は、フェード・アウトの略。

*3:「F・O」はフェードアウトの略。この場合は、画面を次第に暗くしてシーンを転換させる映画の手法のこと。

*4:「空舞台」とは、舞台などの用語で登場人物が舞台上に誰もいないこと。